幼いころに親しんだ『赤毛のアン』シリーズを再読する

幼いころに親しんだ、『赤毛のアン』シリーズ。

ずいぶんオトナになった今、再び読んでみました。

数十年を経て得た私の感想と、新たに気づいたシリーズの魅力についてのお話です。

 

 

村岡花子訳の魅力

 『赤毛のアン』シリーズの訳者といえば、村岡花子氏です。

今は、別の方が手掛けた新訳もあるようですが、私は元祖の方を読んでいます。

昔読んだものと同じものを読めば、それだけ自分の成長の度合いを感じられるような気がするからです。

村岡氏のおかげで、『赤毛のアン』以外のモンゴメリ作品や、その他数多くの作品と親しむことができました。

現代とは違って、まだまだ日本と世界が遠かった時代に異国の文学を翻訳するのは、苦労の連続だったはず。

そのありがたみを噛みしめながら読めば、ますます楽しむことができます。

 

翻訳を読み下す力

とはいえ、日本の一般的な家庭に育った幼い私にとって、やはり難解な部分もありました。

例えば、『アンの幸福』の中の、ある少女を描写したこの一節。

 銀色がかった金髪をまんなかで分けて、それを輪形の櫛であっさり頭に軽くおさえてあり、ふさふさと波打って肩にこぼれております。

さて、輪形の櫛とはいったい?

初めてここを読んだ私にはそれがどんなものか理解できずに、読み飛ばしたであろう箇所です。

しかし、それなりに人生経験を積み、当時より少しは想像力が鍛えられたであろう私の見解は、「これは、カチューシャのことではないだろうか?」です。

正解はわかりませんが、こういった具合に、昔は想像のしようもなかった部分を読み下すのが、楽しくて仕方ありません。

 

周囲の人々の描写

そして、このシリーズの最大のおもしろさは、主人公のアンをめぐる人々にあると、今の私は思うのです。

初対面なのに、「ほら、私って〇〇でしょ」と、その人の個人的なことが世の中の常識であるかのように話すご婦人や、何かにつけて文句をつける人、いちいち心配ばかりしている人、皮肉ばかり言う人、人の話を聞かずにひたすらおしゃべりし続ける人など、国境も時代も越えて、「こういう人いるいる!」と納得しつつ読みながら笑ってしまう、ということが多発。

あるあるネタ満載です。

幼いころだったら、「へんな人」という感想だけだったであろう自らの世慣れぶりに、時間の流れを感じるのでした。

 

風景描写の妙

そして、このシリーズのすばらしさは、風景描写にあります。

私はずっと普通(?)の住宅街に暮らしてきました。

周囲には公園や田畑、林など、ちょっとした自然はありましたが、基本的には家々が並んでいるだけの場所。

しかし、アンが暮らすカナダのプリンスエドワード島の美しさといったら!

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Brigitte WernerによるPixabayからの画像

海や森、小川に牧場、湖と小高い丘、くぼ地など、私が知っている住宅地と、アンが暮らす場所とのあまりの違いに、平凡な子どもだった私は衝撃を受けたものです。

そしてオトナになった今でも、まだ衝撃を受け続けています。

風景の美しい場所に、暮らしてみたいです。

 

ファッションへのあこがれ

さらに印象深いのは、ファッションの描写です。

美しいドレスを着てパーティーに行くという、幼い私にとっては夢の世界のような場面には、ひたすらあこがれ続けたものです。

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Stacey KennedyによるPixabayからの画像

オトナになった現在でも、ドレスを着てパーティーになど行ったことはありませんが…

そして、驚いたのが、「私(もしくは、あなた)には〇〇色は似合わない」と、堂々と言い切るところ。

日本では、「似合う色を知る」という動きは、わりと最近のものなような気が。

髪の色も目の色もさまざまな人々が集まる欧米では、昔から「いかに自分の良さを活かして美しく見せるか」にこだわってきた歴史があるのです。

そうそう、その髪と目の色の描写にも、幼い私にとっては、衝撃的なことでした。

黒っぽい髪と黒っぽい瞳を持つ人ばかりに囲まれていた当時の私には、想像もできない世界だったのです。

 

懐かしい本を読むこと

懐かしい本を読むことは、現在の自分を再発見する旅でもあります。

どの世代でもそれぞれのステージで楽しむことができる本を、幼少期に読んでおいたことにより、それなりに成長している自分を知ることができました。

年齢を重ねれば重ねるほど、新しい魅力を発見できる再読。

ほかの作品にも、挑戦してみたいと思います。

 

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